週刊不定期日記6月①


超お久しぶりの週刊不定期日記です。
これが書けるのも、山場を超えたからこそ、です。
論文提出と本の中味の完成&印刷受け取りが終わり、一番の重圧から解放された昨日から、毎日ちょっと雨が降ったり晴れたり、風が吹いたり止んだりするだけで、世界の色が変わって、感激して写真撮ったり、ずーっと風景を眺めてしまったりしています。
それでなくとも何だか最近は、窓の外を何度も眺めてしまいます。



なんて、きれいなんでしょう。
なんて美しいんでしょう。

制作中、如何に外が見えていなかったか…。
もちろん、見ていたつもりでした。感じていたつもりでした。でも、いつも心は上の空で、どうしたら本が良くなるのか、どうしたら完成できるのか、あれをしなくては、これが間に合わないかも、大丈夫だろうか…そんなことばかりが心を占め、徹底的に戦って来た一年弱。
頑張って、よかった。心の底からそう思います。本が完成したからこそ、です。完成しないと、達成感や解放感は絶対に味わえません。
去年、いいアイディアは出ていたのに完成にまで持ち込むことがかなわず、自分で自分にショックを受けて去年の今頃は一時間も起き上がっていられないほどの体調不良になってしまったのを思い出します。あの時の悔しさは途方もないものがありました。自分を否定することしかできなかったんだと思います。あんなに体を壊したのは久しぶりでした。
あの時の分も、今年は何をしてでも、何を犠牲にしてでも、絶対に絶対に完成させてやる。私の必要なものをつかみ取ってやる。そういう覚悟で臨んだ一年でした。
必死で必死でやってきたから、やっている最中は実感がなかったけれど、ポーラ美術財団へ中間報告書を書いたり、制作の総まとめとして学校へ提出する論文を書いている間に、自分が得たものや成し遂げたものに対する実感がじわじわと湧いてきました。こういう時、文章にして報告する先があることを私はとても有難く思います。アーティストの仕事って自分自身ではなかなか評価しづらいし、満足できるということもないので、得たものよりも課題や達成できなかったことばかりが目についてしまうんですが、客観的に冷静に報告するために事実を並べていくと、ちゃんと自分が頑張ってきたこと、今まで決して得ることのできなかったものをきちんと得ることができたんだと分かります。そのことが、大事だと思うんです。

本の作品を作ってると面白いのは、本は何度も評価を受けるということ。
絵って正直、個展に一度出したら、売れたらサヨナラして売れ残ったら手元に戻ってきて保管されて、あとはまぁポートフォリオやウェブで時々見てもらって「これ好きだわ」と言われるとか、そんなものです。
しかし、本は作ってから二年経って「この本すごく欲しいんです、在庫ありますか?」なんて問い合わせが来たりする。ありますよ、とかないですよ、とか言うたびに、この本は評価を受けているんだと感じたりする。しかも見る側の人に常にそれを購入する権利があるというのは、本当にすごいことだと思うんです。これこそが、私がファインアートを主とすることを辞めた理由です。いいえもちろん、これがファインアートの劣っている点だなどという愚かなことを言うつもりはありません。ただ、私の生き方や価値観には全くフィットしていなかった、というだけのことなのです。

イラストレーションを描き続ける一年は、正直に言えば、すごく辛かった。特に最初は辛くて、描き慣れてきたという実感が湧いたのは、実は5月の終わりです。本の本文に入れる絵をやっと全て描き終わり、本のデザイン直しも終わり、あとは表紙のオマケにつけるスゴロクのために大量のカットを描き下ろすか否か、となった時に、どうせなら悔いのないように描けるだけ描いて全部入れようと思って描き始めた時が、一番楽しかった。。今までやってきて今一番楽しい!って思いました。キャラが勝手に動いてくれるというか、すごく楽しい感覚でした。どうして本文ではこれができなかったんだろう。。て思うけど、本文は本文でいいんです。気合い入れて描きながら細部で遊ぶという形で。でも、五月の終わり、初めてイラストを描くのが楽しいと思えた。あの感覚は、得難いものでした。嬉しくなりました。遂に報われた、という感覚がしました。
このあたりは、キャラが勝手に動いてくれるようになってたので、描いてて楽しかったです。


それともう一つ、チェコに来てからの収穫は、自分が文字を書くのがものすごく好きだと気がついたことです。
最初は"A Ballet Girl"を手書きの筆記体で書いたことでした。
あれも最初はうまく書けなくて大変だったんですが、書くほどにとにかく楽しくなってしまい、描き終わる頃には「もっと書きたい!」と思うほど好きになっていました。筆記体中毒とでも呼べるほどに。
その後、カリグラフィーの楽しさに目覚め、カリグラフィー作品を作ることをもくろむほどハマりましたがスタジオに却下されたので控えたんですけども、その頃作り上げたベースがまた役に立っています。
それをしながら実感したのが、日本語を書くのも好きだ、ということ。どうせ私は書道も分かってない人間だし、エセでいいや、と思って好きなように文字を筆で書いていたら、なんかこの字好きだなぁ。と思うようになり、最終的に今回の卒業制作の本、マラー・ヤポンカの表紙は、手書きのカリグラフィーになりました。

私はわりとぶちゅっと潰した丸っこくて隙間の少ない描き方が好きなようです。
逆に、細い字が嫌い。

シルクスクリーンで印刷中!これに黒の版が乗ります。乞うご期待。

うちのスタジオが、手書きの文字をかなり使いたがるスタジオと言いますか、そこにこだわりがあり、生徒たちもまた手書きのいい感じの字を書くのがうまいんですが、決してカリグラファーのように上手なわけではなく、イラストレーションとマッチするようにうまく調節してるというか、頑張りすぎてないというか…。そこが上手なんです。やっぱり大事なのは「気持ちよく書く」ことじゃないか、と。気持ちよく書いていれば、読み手にも気持ちよさが伝わるからです。のびのびと書いてあるものを見たら、ちゃんとのびのびとした気持ちが伝わります。逆にカチコチに考えたつまらない絵や文字を見れば、つまらない気分にさせられます。そこらへんが、実に上手なんです。
その中で私もこういう、自分がのびのびと気持ちよく描けるスタイルをやっと見つけ出すことができました。カッコつけるんではなくて、ラクに、気持ちよく、たのしく描く。そうできる状態を作る。そうできなかったものならば多分発想が間違ってるので、取りやめる。そのへんの姿勢は、徹底的にスタジオで学ぶ中で叩き込まれたと思います。

叩き込まれたといえば一番のものは、この三年間ですっかりイラストレーションというものが大好きになってしまった私自身だと思います!
正直に言って、日本にいる時にイラストレーションにここまで興味を持ったことも、入れこんだこともありませんでした。これは100%、チェコに来たからだ、ということです。もしかしたらチェコ以外の他の国に行っても、私はこうはならなかったかもしれません…いえ、絶対にならなかった自信があります。ボローニャに今年の春行ってそれは確信しました。私はチェコに来たからこそ、イラストレーションの魅力に取り付かれ、ハマり、頑張りたいと思ったのです。


……あれ、なんだかすっかり語ってしまいました…。卒業制作レポートになってしまいましたね。
え、英語どうしよう…。…後日またやります…とりあえず日本語でアップ。

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